秋色夜風

僕には、
長い間付き合っている彼女がいた。
ある日、
ふとしたことから喧嘩になり、
僕が酷いことを言ってしまったことにより、
彼女を傷つけ、傷つけられ、
二度と会うことがなくなった。
それからしばらく経ったある日の夜。
部屋を吹き抜ける秋色夜風に、
久しぶりの肌寒さと、懐かしさを感じたことから
色々なことを思い出して、
なかなか眠りにつくことができなくなった。
そんなとき、
ふと携帯の履歴に残った、かなり古いメール達を、
少しずつのぞいてみた。
その中の一件。
「今さらやけど、
こんなに気があうのは、
世界中探してもアンタだけやわ☆
一生大事にするから、
大事にしてね♪」
・・・。
あぁ、こんな子に俺は、 傷を。。
ごめん。
ひどいことしたなぁ、俺。
涙が一粒、
携帯電話にこぼれ落ちた。
その涙の意味は、少し複雑。
僕はもう、次に進んだ。
もう、二度と会うことはない。後悔もない。
ただ、どうか、
どうか、
幸せでいて欲しい。
落ちた涙をぬぐうのといっしょに、
携帯のボタンをいくつか、大事に押す。
ピッ、ピッ、ピッ。
電気を消した真っ暗な部屋のなかで、
携帯の画面が強く光る。

「メールを1件削除しました。」
二人は、二度とすれ違うことのない世界へ。
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